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【KDDIアジャイル開発センター】生成AI・LLMを活用したプロダクトオーナー・スクラムの支援サービスの開発に向けて

〜PBI補完サービスでPOやスクラムチームをサポート〜

KDDIアジャイル開発センター株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 / CEO:木暮 圭一、以下KAG)ではこれまで多くのアジャイル開発支援を行ってきました。その中で課題になることの多いプロダクトオーナー(以下PO)にかかる負担を軽減するため、生成AI・LLMを活用したPOおよびスクラムチームの支援サービスについて検証を進めています。

POの仮説課題とプロトタイプ作成

アジャイル開発のフレームワークであるスクラムで開発を進めるにあたり、POへの負荷集中は起こりがちな課題でした。この問題を解決するためPOへのインタビューを実施し、生成AI・LLMを活用したPO支援サービスとして、3つの方向性を具体化しました。

これらはいずれもPOの負担を軽減することで、POがエンドユーザーと対話をする時間やフィードバックをする時間の確保、チームやステークホルダーとの対話・議論をより深く行えるようにするためのものです。

[具体化した3つの方向性]

課題1:POとして、どのタイミングで、何を、どういうやり方で対応すれば良いのかわからない
解決するサービス:POが何をすべきか全体像(一般的なプロセス)を時系列で知ることができるサービス

課題2:PBIの記載内容に自信が持てない
解決するサービス:PBIの記載内容を補完してくれるサービス

課題3:ステークホルダーとの合意形成の準備に時間がかかる
解決するサービス:ステークホルダーを説得するグラフなどの情報や要約が生成される

プロトタイプを用いたPOへのアンケート

上記の方向性でPO支援サービスのプロトタイプを作り、アンケートを実施しました。

[アンケート実施方法]

3つの方向性の各課題に対して、それを解決するサービスのペーパープロトタイプもしくはデモ動画を視聴してもらい、課題に対しての貢献度や、回答者自身の課題への意識について調査

※n=31
※PO経験者もしくはPOを支援しているスクラムチームメンバーを対象として実施

このアンケートの結果からPOの課題感の最も高い項目は「ステークホルダーとの合意形成の準備に時間がかかる」というところだとわかりました。



これに対し、検討中のPO支援サービスによる課題解決においてはPBIの記載内容を補完してくれる(PBI補完サービス)が「課題解決に近づきそう」という回答が58%と最も多い結果となりました。



[PBI補完サービスへのコメント抜粋]

非常に解決に近づくと評価したコメント:
  • リファインメントでの書き直しが減り、事前に推敲されることで業務効率が向上。(PO実践者:経験3ヶ月未満)
  • 一定レベルのチケットになるため、開発側からの質問が減り、スムーズな進行が期待できる。(SM:経験2年以上)

解決に近づきそうと評価したコメント:
  • 受け入れ条件(AC)の自動記述に加え、文章の校正にも利用可能。(PO実践者:経験3ヶ月未満)
  • 書き方がわからない人にとって有益。(POリード:経験6ヶ月−1年未満)
  • 文章をうまく書くのが難しい場合でも助けになる。(PO実践者:経験2年以上)
  • 時間短縮が可能だが、生成内容に依存する場合はサポートが必要。(SM:経験2年以上)
  • 便利だが、内容を正しく理解しないと開発側に混乱を招くリスクがある。(SM:経験2年以上)

この結果を受け、POに負荷が集中しているプロダクトバックログ作成のプロセスに着目し、これを生成AI・LLMを用いてユーザーストーリー・UI/UXデザインから自動的に作成することで、POを支援する「PBI補完サービス」のリリースを目指すこととなりました。

自社内での継続的な検証

「PBI補完サービス」は現在社内ドッグフーディングで検証が進められています。




直近の結果としては下記の通りです。


操作性の評価
  • 非常にシンプルで使いやすいと高評価。
  • 再補完機能で、補完結果を入力欄に簡単にコピーできる点が便利。

バグ報告と改善点
  • 画像読み込み後の補完精度に課題があるとの指摘あり(例:クーポン入力項目の認識ミス)。
  • それでも効率化が図れるとの意見。

全体の感想
  • 受け入れ条件(AC)の漏れを防ぎ、記入の手間を省ける
  • ユーザーストーリーを書くだけで受け入れ条件が自動生成される点が、仕様策定に役立つ。
  • ChatGPTの出力と比較しても、実運用に耐える内容で補完されるACの質が高い。
  • PBIを新規に作成する手間と時間が短縮できた。

検証はPOだけでなくスクラムメンバーにも行っており、その結果スクラムマスター(SM)にも好意的に受け入れられることがわかりました。スクラムチーム内の共通認識を迅速に合わせる際に有効性があり、特に新規でスクラムチームを立ち上げる際は、新しいPBIをどのように作成するか迷ったり、業務負荷に感じることが多いため有効な対策と考えられます。

今後のロードマップ

PO業務の課題や解決策について、アンケートやインタビュー、社内検証を通して、PBI補完サービスが業務負荷の低減に貢献できることがわかりました。また、当初はPO向けに開発を検討していましたが、SMからも好意的な反応であったため、今後はスクラムチーム全体で活用できるサービスとしての提供を検討しています。

ただし、生成AIによるPBI補完は便利である一方、内容を正しく理解しないと混乱を招くリスクやハルシネーションのリスクが存在するため、専門家のサポートも必要です。そのためKAGでは内製開発支援サービスの一環として、「PBI補完サービス(生成AI活用プロダクト)+経験豊富なエキスパート」という新しいサービスプランを提供予定です。



これからも弊社は、お客さまのDX推進にあたりPO業務の効率化と品質向上に貢献するため、引き続きサービスの改善と新しいソリューションの提供に努めてまいります。
ご関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

※POリード:KAGではPOをサポートするスクラムのメンバーとして、「POリード」という独自のロールを設け、アジャイル開発のオプションとしてご提供しております。

■ KDDIアジャイル開発センター株式会社の概要

会社名:KDDIアジャイル開発センター株式会社
主な事業内容:アジャイル開発事業及び保守事業
設立年月日:2022年5月12日
本店所在地:東京都港区虎ノ門一丁目17番1号
代表取締役社長 / CEO:⽊暮 圭⼀
Webサイト:https://kddi-agile.com

本ニュースリリースに関するお問い合わせ先
KDDIアジャイル開発センター株式会社
担当:豊嶋(E-mail:pr@kddi-agile.com